ご挨拶

 
 2022年7月、奈良女子大学に新しい研究所が創られました。ごく小規模ながらも大きな野望を持った歴史文化研究所です。
 一つの野望は、奈良、京都、大阪という日本歴史の中心地に挟まれ、地味な地域だった「けいはんな」エリアに注目し、地域の歴史文化から、日本全体の歴史文化を見通し、塗り替えることです。ここでの「けいはんな」エリアは、西の「つくば」と呼ばれる、いわゆる関西文化学術研究都市(「学研都市」)周辺地域を指すだけでなく、この丘陵を取り囲む木津川流域、淀川流域を想定しています。
 もう一つの野望は、学研都市およびその周辺地域に立地する諸研究機関、特に学研都市に集中する理工系研究機関などと情報交換、連携しながら、文理の壁を越えた歴史文化の研究活動を進めることです。また、この研究所が属する奈良女子大学の「STEAM・融合教育開発機構」は、理系女子の単なる育成でなく、文理融合、学際的な探究心の涵養を目指しています。つまり、本研究所の活動は、未来の日本をリードする人材育成にも資するのです。
 本学で既に研究活動を行う地域研究所としては、大和・紀伊半島研究所(共生科学研究センター、聖地学・古代学研究センター、なら学研究センター)があります。学内での連携を図りながらも、日本国内での研究交流、さらには海外へ研究発信を目論んでいます。
 お見守り、ご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。

 

                           所長 寺岡伸悟(てらおか・しんご)
                           奈良女子大学研究院(人文科学系)教授
                           (観光社会学、文化学、地域社会学)